「私は伊織が心配だよ。そうやって人の相談ばっかり乗って自分のことは解決できてないじゃん」
「……解決はしてるよ。もう会うこともないんだし」
「でも踏ん切りはついてない、でしょ?」
美伽の言葉に言い返せなかった。
恋愛相談には一丁前にアドバイスするけど、美伽の言うとおり自分のことになると本当にダメ。
今までの思い出なんてなかったかのように振られたっていうのに、いまだに連絡先でさえ消すことができない。
……私も本気でそろそろ気持ちを切り替えなきゃいけないよね。
でも誰かを好きになったのも誰か付き合ったのも〝あの人〟が初めてだったから。
「え、待って。なにその彩り鮮やかなお弁当」
パカッとお弁当箱のフタを開けたところで、いつもとは明らかに違うクオリティーに美伽が気づいたようだ。
「加島に作ってもらったんだよ」
私はそう言っておかずを一口食べる。
……うま。なにこれ。えびのすり身を揚げてるのかな?
朝からこんなものを作ってしまうなんて、どんだけ主婦力が高いんだろう。作り方を書いてもらえばよかった。
「は?加島に?どういうこと?」
いきなり加島の名前が出てきたことと、お弁当を作ってもらったという事実がうまく繋がらないみたいで、美伽は困惑していた。



