いつもひとりきりで夜を迎えるのに今日はひとりじゃない。ましてや加島と同じ空間で寝ることになるなんて想像もしていなかった。


「ねえ、加島」

私は天井を一点に見つめて声をかける。


「はい?」

返事をした加島の顔は確認できないけれど、ベッドの横に布団が敷いてあるので、声はものすごく近くに感じた。


「私さ、加島ってもっとだらしない人かと思ってたよ」

「なんすか、急に」


だってお皿洗いも全部やってくれたし、私が入り終わったあとのお風呂掃除までしてくれた。

こんなにテキパキ動けるヤツだとは思わなかったし、料理上手も嘘じゃなかったことに今さら驚いている。


「他の女の子にもこうやって色々やってあげたりするの?」

「やってあげるってほどじゃないですけど、年下としか付き合ったことないんで自然に俺がやんなきゃみたいになりますよ」

「へえ、意外」


もっとダラダラとして、あれやってこれやってとワガママし放題かと思ってた。


「俺、主導権は握りたいタイプなんで、俺のあとをちょこちょこ付いてくるような子がいいんですよ」

そういえば上級生にも言い寄られている場面を目撃したりするけど、うまく交わしている気はしていた。

美人な人ばっかりだし、もったいないと思っていたけど、単純にタイプじゃなかったってことだったんだ。