「伊織、相手に歩み寄ることも大切って言葉、そのままアンタに返してあげようか」
「もう、意地悪なこと言わないでよ」
私だって自分でどの口が言ってるんだって思ってるよ。
加島のことを目で追わないようにしたって、心では加島のことを探してる。
どこにいても目立つピンクアッシュの髪の毛に、派手なロゴ入りのトレーナー。
加島は原色ばかりを好むから傍にいると目がチカチカして大変だった。
でも今は……加島がいないとすべてが暗く見えて、なんだかぽっかりと心に穴が空いてしまった。
「私は正直、伊織が幸せなら誰でもいいのよ。相手が加島じゃなくてもね。でも、伊織は加島がいいんじゃないの?加島だから動いた気持ちがあったんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、それをなかったことにしちゃダメだよ」
美伽は私のために、厳しくも温かいことを言ってくれた。



