とりあえず私の鍵でドアを開けて、家に入った。
玄関に加島のスニーカーがあるのも、家の中に加島がいるのも久しぶりのような気がして、気持ちが込み上げてくる。
「理沙ちゃんとは話せたの……?」
「はい。それで自分の荷物を取りにきました」
「え?」
加島はそう言って、次々とカバンに洋服を入れはじめた。
……荷物を取りにきたってことは、この家を出ていくってこと?
理沙ちゃんとの関係が拗れて、理沙ちゃんの味方だった両親を敵に回して。あんなに帰りたくないと言ってたのに、いくらなんでも急すぎない?
「もしかして、私に気を遣ってる?私は全然大丈夫だよ。加島さえ良ければいつまででも家に……」
「それって、どういう意味で言ってますか?」
荷物をまとめていた加島の手が止まった。
「俺、なんかよく分かんないです。先輩が元カレに会ってて、年上がどうとかスーツ姿がどうとか興奮して言ってた先輩を思い出して、元カレは先輩の好みそのものって感じの人でした」
「………」
「だから似合ってましたよ、すごく」
加島は、辰巳さんと私がふたりでいたあの夜のことを思い出しているような目をしていた。



