この恋は少しずつしか進まない




それから私は駅まで辰巳さんに送ってもらって、自宅までは歩いて帰った。

……加島はもう理沙ちゃんとの話は終わったかな。今日はどこに泊まるんだろう。

連絡してみようと、アパートの階段を上りながらスマホを触る。


「思ってたより早かったですね」

その声にビックリしてスマホの画面から視線を変えると、家のドアの前で加島が立っていた。


「え、あれ、友達の家に行く予定じゃ……」

「今日は行くなんて言ってませんよ」

あ、たしかに、と思いつつも、頭がまだ混乱していた。


「中に入って待ってたらよかったのに……」

「うーん。でも、外で待ちたい気分だったんで」


加島は口を濁していたけれど、私と辰巳さんのこともあってスペアキーを使うことに躊躇したんだと思う。


そんな辰巳さんのことを振ってきたなんて夢にも思っていない加島は、まだ私の目を見ようとはしない。