この恋は少しずつしか進まない




それからあっという間に放課後になった。

先ほど辰巳さんからメッセージが届いて、駅のロータリーで車を停めて待っているとのこと。


もちろん映画のことは美伽に相談した。

『迷ってるなら断ったほうがいいんじゃないの?』と言ってくれたけど、私がダラダラと考えてる間に断れる雰囲気でもなくなってしまった。


……はあ。なんか今日の私はため息ばっかり。

付き合ってた時は辰巳さんとのデートが待ち遠しくて眠れなかったくらいだったのに。
 

「水沢せーんぱい」

と、その時。リズミカルに名前を呼ばれて肩を叩かれた。振り向くとそこには何故か加島が立っていた。
 


「え、な、なんで?」

美伽はホームルームが終わると同時に帰ったけど、教室にはまだクラスメイトたちが残っていて、やっぱり加島を見るなり色めき立っていた。
 

「教室間違えた?ここ私のクラスだよ」

「先輩じゃないんだから間違えないですよ」 


あれ、私、教室を間違えたことなんてあったかな。

今朝靴下は履き違えちゃったけど……って、そうじゃなくて!


「なんで加島がここにいるの?」

「先輩と一緒に帰ろうと思って」

……え、と私が瞬きをしてる間に、クラスメイトの女子がざわざわとしはじめる。