◆◇◆
「美夜」
小さな足音が近づいてきたと思えば、静かに名前を呼ばれ、振り返る。
緑が生い茂った森を背景に、日焼けした優菜が立っていた。
「…なんでこの場所……」
この海はコウちゃんと私だけの秘密だった。
優菜にも海花にもこの場所は教えてないのに。
「真紀さんから電話がかかってきた。たぶん美夜が海にいるから行ってやってほしいって」
いつになく真剣な表情をした優菜が一歩一歩私の方へ近づいてくる。
「いい場所だね。ここ。海がすごく綺麗…」
優菜はそう言って私の隣に座った。
波の音だけがこの空間を創り上げているようで…。



