「ここが俺たちの部屋。

俺の他にあと2人いるけど、まぁ気がいい奴らだから多分大丈夫だ。」


「…う、うん。」


私的には何も大丈夫じゃないんだけど…

なんか話進んで私ここに住むことになっちゃったけど…


「あの、野菊…さん?」

「野菊でいい。」

「あ、じゃあえっと…野菊。
ここってどういう場所なの?」


「あぁ。しらねぇのか。
んー…まぁ簡単に言うと女が男を買うところだ。」

「…はい?」


「宿場で舞やったり寝所で女の相手を「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」…うるさい…」

「わ、分かったからもう言わないでいいよ!」

「自分で聞いたくせに…」


え?なに?つまり遊女みたいな?

そういうことなの?
そういう仕事なの?
その年で?


「え、野菊ももう働いてるの…?」

「俺は見習いみたいなもの。
芸…例えば三味線とか茶道とか和歌とか、そういうのの稽古してる。」


「あ、そうなんだ…」


良かった…10歳にもならない男の子をなんてことにはなってないみたいだ。


「秋声さん?もそういう仕事の人?」


「そういう仕事?あぁ、遊男の事な。
秋声さんは花魁だったんだ。今はもうやめたけど、前はすごい人気だったってさ。」


「へ、へー…」


どうやら遊男というらしい。
なんかどっかで聞いたことあるワードだなー…


そう言えば野菊とか秋声とか、考えたら何とかなく聞き覚えあるんだよねー…

なんだっけ。


まぁ、そんなことはどうでもいい。まずは自分の名前を思い出すことが最優先だ。