「そう言えば、ここはどこなんですか?」
「ここは風(フウ)だよ。聞いたことくらいあるでしょ?」
「、、風…ですか…」
「もしかして…知らない?」
「えっと…ごめんなさい…ちょっとわかんないです…」
「何?お前記憶喪失かなんか?」
「うーん…そんなことは無いと思うんだけど…」
「まぁ、思い出すまでここにいるといいよ」
「え!?」
「ちょ、秋声さん、こいつここに置くんですか?」
「だって故郷までの道が分からないんじゃ帰り用がないだろ?この子。
それに、野菊が拾ってきたんじゃないか。」
「だ、だからって…」
「嫌なの?」
「そういう訳じゃないですけど…」
「え、ちょっとちょっと!待ってください!」
「「??」」
「え、置くって、私ここに住むってことですか!?」
「?そうだけど、何か問題でも?」
いや問題しかねーよ!
急に意味わからないところに連れてこられるし体小さくなってるし知らない男の子に引っ張られるしでただでさえ頭痛いのにさらに知らないところで知らない人と同居とか、爆発させる気か!
「わ、私帰ります!」
Uターンしてドアから出ようとすると秋声さんに肩を掴まれた。
「!!!……」ビクッ
「帰るってどこに?
帰り道わかんないんだよね?」
「あ、歩いてたらつきます!多分!」
「バカかお前、ヨミに喰われるぞ。」
「よみ?だから何それ?」
「風には"ヨミ"っていう妖が出るんだよ。とくに黄昏時から夜にかけての。ちょうど7、8時くらいに。」
「あ、あやかしぃ?」
「そ。だから君みたいな女の子が夜道歩いてたらあっという間に食べられちゃうよ?」
妖って…
幼稚園児じゃあるまいし、そんな事信じるわけないのに…
さては見た目子供だと思って舐めてるな…?
こちとら精神年齢23歳なんだよ!
「ていうわけだから、君は前のこと思い出すまでここにいること!いいね?」
「は?ちょ…」
「野菊、布団余ってたよね?野菊たちの部屋に入れるから、案内とか任せたよ?」
「いや、だから…」
「こっちの部屋ですか?俺はいいけど、こいつは大丈夫なんですか?」
「あの、話を…」
「いきなり手引っ張ってここまで連れてきて泊めるって言った人が何を今更…
ま、その子のことよろしくね!」
「だから話を…」
「分かりました。ほら行くぞ」
「………ハイ。」
だめだこの人達話聞いてない…

