翌日早朝、私は3人より早く起きて、乙女ゲーム「泡沫の恋」について思い出したことを整理していた。



攻略キャラは7人だが、実は隠しルートが存在していて、実際の攻略キャラは8人だ。


その隠しルートが誰だったかは全クリしていなかったから分からないが、たぶん秋声さんあたりだと思う。



そして野菊や秋声さんが言っていた「ヨミ」。

あれは私を怖がらせるための嘘ではなかった。

「ヨミ」とは人喰いの妖で、ここ付近によく出る危険なやつだ。
主に頭部を好み、首なし死体などが何百件と見つかっている。


やべ。
私危なかったじゃん。野菊に感謝だな…


まぁヨミは明け方からひるにかけては現れないとなっているので最近は被害は少なくなっている。…多分。


だから夕暮れから夜明け前にかけては余程のことがない限りみんな外には出ようとしないのだ。

あぁ、それであの驚きようね。




まぁヒロインが来るのは野菊たちが遊男なってからだったし、まだまだだね先のことだろう。


それまでに私が成し遂げる使命はただ一つ。
ゲームの中と変わらない吊弦になること。

優しくてでもいたずら好きで頼りになってかっこよくて踊りも茶道も箏も琴も出来る。そんな完璧な遊男になること!



…よし、燃えてきた!!!!


私はここで吊弦としてやっていく覚悟を決めた。