玄関上に取り付けられたドアフォンのカメラの前で、身振り手振りを交えつつ脱出を促すオキ。
その慌て振りからして、どうやら本気のようだ。


「お、お前の親父さんの部下…つーかおれの親父から連絡あったんだよ。
サ、サツの知り合いに金払って、あと身代わりを立ててやるって。
だから暫く海外(そと)に逃げとけって言ってきたんだよ!」

「…え?本当かそれ?!」

河内の声に、驚きとともに喜びの色が混じる。


前に傷害事件を起こした時も、偽証人をでっち上げて無罪放免になったことがある。


己の身と息子を溺愛している親父のことだ。
身代わりを立てるなんて所業もやりかねない。

なので、いとも容易くオキの話を信じた。