その声は、たった一人のすきな人に届けばいい。


届かないと知っているから、私は声をあげて泣くことはしなかった。


ただ、ひっそり泣いた。


引き結んだ唇。


とめどなく頬を流れるだけの涙。


そういう泣き方をした。


淋しさをこらえた泣き方。


……ねえ、まだすきなんだよ……。


暁になれば消える、なんて……嘘じゃない。


全然、すきじゃなくならない。


すきだよ。


もっともっと……たった一日で、こんなにすきなれるのかってくらいに……。


逢いたいよ。