「……はー」
息を吐いた。
この吐息に混じって今、胸にうずまく気持ちも流れ出てしまえばいいのに。
こんなにも自分に恋が似合わないと思わなかった。
何で自分は人間じゃないのか、とか、考えればいいのかもしれない。
でもそんな益体(やくたい)もないことを考えても時間潰しにもならない。
真紅。
たった二つのその音ですら、こんなに愛しい。
それが姿を伴って目の前に現れたら。
狂おしいほど愛してしまいたい。
……つったって、ここサボったらじじいがうっせーしな。
俺がここを離れることはできない。
だから真紅は今日たまたま、病院にいただけであってくれ。