「いるよ。人間ではないモノってのは、案外多い。姿かたちがよく似ているから、普通の人間には見分けがつかないんだろうな。鬼は人間より長命だったり、死ににくかったり、あとは個人にもよるけど突出する才の幅が大きい」


「へー」


「疑わないのか?」


「なにを?」


「俺のこととか、話していることとか。普通に聞いたらただのヤバい奴だろ」


「あ、確かに。……でも、助けられた、のは本当だし……」
 

すっと、真紅の首筋に指先を触れさせた。


「ごめんな」


「へ?」


「牙痕(がこん)。これだけは俺にも消せなくて……女の子なのに、傷つけて悪かった」
 

最初は、血を頂くつもりで噛み付いた。でも、生かしたいと思って、噛み付いた場所から自分の血を入れた。


俺の血が人間に馴染むかは賭けだったけど……真紅は、目を覚ました。


「いや、本当に命を救われたのは私だから。だから……」