「一般的に言えばそうかもしれませんが、母上はこの時代に俺を産んでくださった。白のいる今に。それだけで、俺は十分です」

「………」

まことは女性であるのに、男としてしか生きる道のない白。

母上にとっては、親友の愛娘。

「そういえば母上、どうやってここへ来たんです? 母上の使役(しえき)に時空の転移が出来るものはいませんでしたよね? 涙雨は遣いに出していませんが」

「水鏡繋いでぶち破ってきました。手っ取り早かったので」

「………」

水鏡は連絡手段なんだけどなあ……。微笑のまま固まる俺。

……白の評通り、自分は、母上を越えられそうにない。