「………」


「逸らさないで。真紅。俺には彼女なんていない。それは本当」


「へ? でも、さっき結婚がどうのって……」


「うん、それはちょっと真紅をからかいたいと」


「そ、うなの?」


「うん。ごめん。ちょっと言葉が足りないと言うか……まさかそんな勘違いをされるとは思わなかった」


「……私の想像が過ぎた? 暴走だった?」


「過ぎた。暴走だった」
 

真紅は目を何度も瞬かせたあと、恥ずかしくなったのか俯いた。


「……黎さん、私はまだ十五なのでその対象に見られているとは思いませんでした」


「真紅、十五なの?」


「はい。高一です」


「彼氏は?」


「いないよ」


「そっか。ならいい」