「黎を巡る血の、鬼としての性(さが)だけが浄化された、と……」
病院の院長室の隣にある応接室には、澪と祖父である古人翁、澪の父で院長の白衣の男性――嗣(つぐ)さんが揃い、そろって渋面(じゅうめん)をしていた。
翁は、黎の異変に気付いた澪に急きょ呼ばれた。
だが、翁が到着したころには、総て終わっていた。
「まさか、そのようなことが出来ようとは……」
「始祖の転生の力は、総ては解読されていない。俺たちにはまだ知らないものが含まれていよう。だが、予定より一日早いが、母上が目覚め、真紅の血の封じが解かれているのも事実。それを迎えて、黎は退鬼されるどころか、鬼性を含んだ血を吐きだして生きている。俺と白が見た限りでも、黎から鬼の妖力は欠片も感じられなかった。見鬼である人間程度の霊力があるだけだ」



