黎は、少し微笑んで、私の頬に触れながらそう言った。
――現状、私は本家筋の娘で、当主候補の一人として目されておかしくないらしい。
私が小路を継ぐかどうかは、存在する問題だと黒藤さんも白ちゃんも言っていた。
「……私が黎をお婿さんにもらうんだよ?」
「なら、俺の嫁になってくれるか?」
黎の直球な言葉に、私の思考回路は慌てだす。
言われた言葉が、だんだんと現実味を帯びて、理解を始める。ええと……。
「……私と一緒に、影小路に入ってくれる?」
「桜城の跡取りには架がいる。大丈夫だよ」
――黎が、私と同じ未来(さき)を見ている。
「……はい。よろしくお願いします」
私は小さい声で言った。黎の手が、頬をつまんでくる。
「ありがとう。……俺も、今は霊感が少し強い人間と大差ないらしい。力不足だけど、真紅の支えになれるようがんばるからな」
「うん、私も、黎のご家族に認めてもらえるようにがんばるから。……これからは、一緒にいてね?」
「ああ。……俺たち、一緒に生きていいんだからな」



