「別にどこも行かないよ。……心配なら膝枕でもしてあげようか? それなら逃げられないでしょ?」
「……なら、頼む」
ソファの隣に座っていた黎が、私の膝に頭を載せて寝ころんだ。
……え?
「ほ、本気でしたか……」
「真紅が言ったんだぞ?」
思わず敬語になってしまう。半ば、売り言葉に買い言葉だったから……。
いつもは見上げている黎を見下ろすのは、どことなく恥ずかしい。
「なあ、真紅」
「なに?」
「いつか、結婚しよう。真紅が、影小路の家とのこととか、この先にある陰陽師や退鬼師としてのこととか、全部気が済む形で落ち着いたら」



