真紅嬢が小路流に入れば、そして始祖の転生と知れれば、当然のように当主への道も話として出てくるはずだ。 当主の伴侶が、鬼人の一族の出身か……。 笑える話じゃ。 黒の若君が当主となることはないだろう。 自分がそんなものになるくらいなら、流派ごと滅ぶ道を選ぶのが涙雨の主様だ。 ならば有力となるのは、やはり真紅嬢でしかない。 現状、黒の若君に次ぐ能力の持ち主と言えば、御門流の白の姫君と、今は眠っている先代の紅緒嬢となってしまうくらい、小路内外で見ても黒の若君の力は突出している。