一つ目、本当に真紅嬢には退鬼師性はなく、影小路の血しか効力を持っていないこと。

二つ目、紅緒嬢によって封じられているものに桜木の血も含まれていて、血の持つ退鬼の力ごと封じられているために、黎明の子どもにはまだ影響が見られない。

三つ目に、なんらかの理由によって黎明の子どもには桜木の退鬼師の血が効果を発揮せず、今までも、今後も影響を与えない可能性。

……どれにしても真紅嬢よ、黎明の子どもを伴侶に望むのなら、一番の敵は桜城一族じゃぞ。

涙雨は黎明ののことを、『黎明の子ども』と呼んでいる。

幾年(いくとせ)を生きる涙雨からすれば、百歳の人間だって子どもじゃ。