……まったく。何回か死ぬかと思うたぞ。 こっそり主に毒を吐く。 涙雨とも顔見知りである黎明の子どもは、涙雨に容赦なんかしない。 二回ほど潰されかけたぞ。 ………。 涙雨の主は黒の若君だ。今は、黒の若君の命で真紅嬢の護衛をしている。 ……真紅嬢の力は、徐々に開花しつつある。 先ほど、黎明の子どもに調子の悪そうなところはなかった。 真紅嬢の血に退鬼されていないと考えられる理由は三つ。