陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


「涙雨が、白桜に先触れをくれたからな。だが、いくら涙雨がいようと請負側としても、女性を夜道に歩かせるのは駄目だということで俺が遣わされた。居住から姿を見せては説明が面倒だから、ここまで隠形していた」

すまんな、紅い髪の、黒藤さんとそっくりな無炎さんは手を振った。

「え、と……ご存知かと思いますが、桜木真紅です」

「ああ。中へ入れ。天音が待ちくたびれている」

大きな木の門が開いた。私のいる外側からは誰も手を触れていない。

ゆっくりと動くそれを見つめていると、向こうに頭(こうべ)を垂れた――女性がいた。

「ようこそいらせられました。真紅お嬢様」

そう言ってから顔をあげたのは、天女もかくやというほど麗しい女性だった。