「天音がいるからな」 「……今度こそ首を掻っ切られる気しかしない……」 俺の忠告に、黒は顔色を悪くさせた。 天音は俺の式として、護衛のために百合姫の傍にいることが多い。 今は無炎が隠形して俺の傍にいるので天音が今のやり取りを知ることはないが、カンペキに俺に下心のある黒は最重要警戒対象なのだろう。 天音は、母の頃より仕えている。 月御門に、ではなく、俺の母・白桃個人に。 だが天音が母様の式であったことはなく、使役に下ったのは俺が初めてだった。