私と同じ高さにある樹の枝に腰掛ける青年は優雅に微笑む。
「言ったよ。死なせてくれるなら、血をあげるって」
「……じゃあ、何で、私……、血、飲まなかったの……?」
「飲んだよ。いただいた」
「――じゃあ!」
「言葉は護るよ。お前は、最期のときに一緒にいてくれるなら、最期のときに傍にいて手を握ってくれるなら、って言ったんだよ」
「………」
「だから、俺はお前と一緒にいるよ。最期の時に手を握っててやる。お前が天命を待って死ぬまで」
「―――」
天命を待って、
死ぬまで。
「私は今―――
しぬべきなの。
ずっと鍵のかかった部屋にいた言葉。飛び出すならば、今しかない。