真紅は生来の力は強いだろうが、それを扱うことは一切経験していない。
それが出来なくてはただの『霊感の強い人』だ。
「海雨の方が、時間がかかるのは承知してもらうしかない。十年以上の瘴気なんだ、俺らでもすぐにとはいかない。……それに、本体を退治たのは真紅の霊力だ。同じ者が解きにかかった方が、海雨への反動は少ないはず」
「そりゃそうだけど……」
「真紅は、お前のとこに行くよ」
「……俺が
「小路流に入るっつー意味だぞ? 舌を噛む準備はいいか?」
「先読みし過ぎだろ! 拳握るな!」
黒が言いそうなことは大体察しがつくので、俺は言わせないだけだ。
今だってどうせ、嫁どうの宣う気だったろう。



