陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


「だって架くん、白ちゃんに睨まれても帰らなかったから。白ちゃんと黒ちゃんは若年(じゃくねん)だけど、当代きっての実力者よ。逆らってもいいことはないって、わかってると思って」

「………」

当代きっての実力者。

月御門白桜と、影小路黒藤。

「……私がすきなのは、桜城くんのお兄さんだよ」

「お兄さんがいらっしゃるの? けど、桜城家の跡継ぎは架くんだって聞いたことあるけど……」

ママは小首を傾げた。黎のことは知らないのか……。

「なんか、お母さんが違うんだって。その……そういった意味で色々あるみたい」

「そうなの……。お兄さんも淋しい思いをされていたのかしら……」

『独りになるように、自分で仕向けていたんだ――』