陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


黒藤さんが顔をしかめるの、初めて見た。

しかしママは気にしていないようだ。

「なんで?」

「無涯は消えました。それだけです」

「でも、紅緒はもうすぐ目覚めるわ」

「………」

ママが黒藤さんを黙らせた。その様に、桜城くんが一番驚いていた。

「若君を黙らせるって……」

もっと言うなら、桜城くんは愕然としている。

ママは何を思ってか、唐突に言った。

「黒ちゃん、一つ教えておくわね。紅緒は目が覚めても、当主に返り咲きはしないわ」