白桜さんが謝ると、ママは「ふーん?」と唸った。
そのあと、うずくまったままの黒いものを見て目を輝かせた。
「黒ちゃん⁉ わーっ、久しぶりねえ!」
「えっ? あ、はい……」
ママに呼ばれて、黒藤さんが立ち上がった。
……白桜さんの拳がヒットしたらしい左頬がかなり紅い……。白桜さん容赦ないな。
「黒ちゃんが一歳のとき以来かしら」
「……やはり母上が眠る前にお逢いしたことがありましたか」
「ええ。紅緒に呼ばれて、外でね。んー、成長してみれば無涯(むがい)そのものね」
「……紅亜様、出来たらその言いようだけはおやめください」



