陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


「兄貴なら鬼人の一族を立て直せると思うんだ。兄貴の鬼性(きしょう)は今、桜城の中で最も強い。……だから俺は、兄貴に家に戻ってほしい」

「……桜城くんは、自分が、とは思わないの?」

「俺は鬼人としての血が薄いみたいで、何も出来ないんだ」

……本当に、知らないんだ。

ふと、桜城くんに影が差した。

「……昨日は、ごめんね」

「へ?」

「若君――黒藤さんのこと。急にびっくりしたよね」

「うん……。さすがにびっくりしたけど、桜城くんが来てくれたから、本当のことなんだろうなって思いながら聞けた」

「兄貴が聞いたら妬きそうだね」

桜城くんは愉快そうに笑った。