ママの瞳が、遠く哀愁を帯びる。
「お父様……? ママ、影小路の家と、繋がりあったの?」
「ええ……。私も知らなかったんだけど、紅緒が、桜木にいた私のことを突き止めてきたのよ。
最初はびっくりしたわ。同じ顔の女の子が訪ねてきたんだもの。私も自分が養子とは知っていても、影小路本家や、双児の妹がいることは知らなかったから。
紅緒が訪ねて来てから、私は影小路の本家の外で、紅緒や、お父様、お母様と逢うこともあった。
紅緒が眠る前のことだから向こうは憶えていないだろうけど、黒ちゃんとも逢ったことあるのよ。
私が真紅ちゃんを授かってから逢ったときには、真紅ちゃんが……小路にとって重要な人であることに気づいて、紅緒が言ったの。
真紅ちゃんが十六になったら、きっと大丈夫になる。誰にも文句なんて言わせないから、真紅ちゃんも影小路のもとで、一緒に暮らそうって」



