「お前こそ、何故に真紅嬢のことを訊く? お前はあくまで小埜の預かり。影小路の若君とは……面識あるだろうが、ほかに接触させた覚えはないが」

「………」

俺、硬直。

「おい?」

じじいは訝し気な顔で俺を見てくる。

「おいクソガキ。まさか真紅嬢と何かあったのか?」

誰何する声も、耳を素通りするだけだ。

送って行ったとき、真紅の様子がどこかおかしいと思った。

架は、何故かじじいに話せと押し切ってきた。

……真紅の出自を、知っていたのか。