「れ――?」 「……ごめんな」 黎の唇が、首筋にある牙の痕に触れた。 「だ―― 駄目だ! 突き放そうとしたけど、私の身体は意志には従ってくれなかった。 そして心配に反して、黎は牙痕に唇を触れさせただけで、離れて行った。 見上げた黎の顔は何かが痛そうに歪んでいる。 ……この前もそうだったけど、黎は私に牙痕を残してしまったことを申し訳なく思っているようだ。 「だ、大丈夫、だよ。私、髪長いから隠れるし」