公園を出ようとしたところで、人目を引く青年がこちらを見ているのに気づいた。

ブレザー姿だから、高校生だろうか。

黎ほどではないけど長身で、黒髪に銀の前髪が一房混じっている。

きりっとした面立ちで、何故かじっと私を見ていた。

あれ? あの髪の色、どっかで……。

危ない人かと思い、迂回しようとしたとき。

「桜木真紅?」

フルネームで呼ばれて、振り返ってしまった。

その声は、青年からだった。

「――若君⁉」

直後、黎を追って行ったはずの桜城くんが戻って来た。

わ、わかぎみ? って、さっき黎と話していた……?