冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない

「そんなに凝ってるのか?」

 固まっているままのライラをよそに、スヴェンはライラの肩に手を伸ばした。

「わっ」

 躊躇いもなく触れられ、思わず悲鳴にも似た声をあげる。ローブ越しに右肩に大きな手が置かれ、ライラは動揺が隠せなかった。

 スヴェンはまったく気に留めない。それどころかライラの首元で緩く結ばれているローブの紐に、空いている方の手をかける。

 あっさりと紐をほどくと、合間から手を滑らせライラの肩に直に触れた。

「んっ、ちょっと!」

 肌に触れられた驚きでライラは反射的に強めの声で制する。しかし遅い時間ということもあり、すぐに口をつぐむ。

「たしかに凝ってるな。熱も少し持ってる」

 ライラに触れながらも、スヴェンは冷静そのものだった。それが逆にライラの恥ずかしさを増幅させる。

 骨ばった手は思った以上に温かく、触れ方も優しい。とはいえ異性にこんなふうに肌を触られた経験は皆無だ。

 触れられたところが熱を帯びるのに対し、鳥肌が立つ。わけがわからない。心臓が破裂しそうに脈打ち、体が勝手に反応する。

「この機会に少し鍛えてみたらどうだ。ない筋肉を酷使したからだろ、揉んでやろうか?」

「いい、平気!」

 下を向き、突っぱねてイラは叫んだ。スヴェンは気にする素振りもなく、ライラに触れ続ける。気づけば両方の手で肩からなぞるように肌を撫でられていた。

「ん」

 ぎゅっと目を閉じて、漏れそうになる声を必死で堪える。すると、触れられていた手の動きがふと止まった。