それでいいはずなのに、やっぱり必要とされたくて、本当の自分を見て欲しくなる。矛盾している気持ちは一歩踏み出さないとなにも変わらない。
「少しだけ嬉しかった。誰かの、なにかのために頑張るのってずっとなかったから。だから、あの子のためっていうより自分のためだよ」
「その自己満足で、あの馬は使えるようになったんだ。誰も損はしていない」
厩舎に通い詰め、ライラは鹿毛の馬と心通わすのに必死だった。なんとかこの馬本来のよさを引き出したい。エリオットのアドバイスを受けながら、世話をするところからはじめた。
体を動かすのは好きだし、時間も十分にある。孤児院でも動物の飼育はしていたので抵抗もなかった。
ライラの提案を最初はいい顔をしなかったエリオットだが、なんだかんだで面倒を見てくれた。彼には本当に感謝している。
けれど最終的にはスヴェンの判断次第だ。懇願するのは簡単だが、それは違うと思いライラはスヴェンに余計な話はしなかった。
目の前で証明し、納得してもらうしかない。チャンスは一回きりだ。そんな緊張をずっと背負っていた。同時に言い知れない後ろめたさを感じていたのも事実だ。
「……ありがとう」
スヴェンの言葉に純粋に気持ちが軽くなる。彼が余計な優しさを持ち合わせていないのを知っているから、素直に受け取ることができた。
最初はずっと冷たいだけだと思っていたのに……。
「とりあえず、そのローブを脱げ」
「え?」
突然の指示にライラは目を丸くする。もう寝ろという意味なのか。
「少しだけ嬉しかった。誰かの、なにかのために頑張るのってずっとなかったから。だから、あの子のためっていうより自分のためだよ」
「その自己満足で、あの馬は使えるようになったんだ。誰も損はしていない」
厩舎に通い詰め、ライラは鹿毛の馬と心通わすのに必死だった。なんとかこの馬本来のよさを引き出したい。エリオットのアドバイスを受けながら、世話をするところからはじめた。
体を動かすのは好きだし、時間も十分にある。孤児院でも動物の飼育はしていたので抵抗もなかった。
ライラの提案を最初はいい顔をしなかったエリオットだが、なんだかんだで面倒を見てくれた。彼には本当に感謝している。
けれど最終的にはスヴェンの判断次第だ。懇願するのは簡単だが、それは違うと思いライラはスヴェンに余計な話はしなかった。
目の前で証明し、納得してもらうしかない。チャンスは一回きりだ。そんな緊張をずっと背負っていた。同時に言い知れない後ろめたさを感じていたのも事実だ。
「……ありがとう」
スヴェンの言葉に純粋に気持ちが軽くなる。彼が余計な優しさを持ち合わせていないのを知っているから、素直に受け取ることができた。
最初はずっと冷たいだけだと思っていたのに……。
「とりあえず、そのローブを脱げ」
「え?」
突然の指示にライラは目を丸くする。もう寝ろという意味なのか。


