話を遮って投げかけられた問いかけにライラは虚を衝かれた顔をする。そしてしばらく目を泳がせてからぎこちなく答えた。
「そんな立派なものじゃないよ。時間を持て余していたし、私も馬に乗る練習をしたかったから……それだけ」
風が吹いて、木々を鳴らす。遠くでなにかが転がる音がした。ライラの髪もわずかに揺れ、前髪の合間から金の瞳がちらりと覗く。
ライラは顔の向きを変え、マーシャにも声をかけた。
「マーシャもありがとう。ずっと付き合わせてしまってごめんなさい」
「かまいませんよ。それにその言葉はすでに旦那様から頂きましたから」
「え?」
急いでスヴェンの方に首を動かすと、ライラを避けるかのようにスヴェンはふいっと目を逸らした。
「俺は仕事に戻る。今日はいつもより遅くはならないと思うが、疲れているなら先に休んでろ」
言い捨ててさっさとライラとマーシャに背を向ける。その背中にライラが呼びかけた。
「スヴェン」
振り向きはしない。けれどライラは一方的に彼の背中に続けた。
「今日は寝ないで待ってるから。時間を作ってくれてありがとう。いってらっしゃい」
スヴェンが足を止め、わずかにライラの方に顔を向けたので、一瞬だけふたりの視線が交わる。
スヴェンからなにも言葉は返ってこなかったが、かすかに口角が上げられている表情に、ライラも自然と笑顔になって返した。
「そんな立派なものじゃないよ。時間を持て余していたし、私も馬に乗る練習をしたかったから……それだけ」
風が吹いて、木々を鳴らす。遠くでなにかが転がる音がした。ライラの髪もわずかに揺れ、前髪の合間から金の瞳がちらりと覗く。
ライラは顔の向きを変え、マーシャにも声をかけた。
「マーシャもありがとう。ずっと付き合わせてしまってごめんなさい」
「かまいませんよ。それにその言葉はすでに旦那様から頂きましたから」
「え?」
急いでスヴェンの方に首を動かすと、ライラを避けるかのようにスヴェンはふいっと目を逸らした。
「俺は仕事に戻る。今日はいつもより遅くはならないと思うが、疲れているなら先に休んでろ」
言い捨ててさっさとライラとマーシャに背を向ける。その背中にライラが呼びかけた。
「スヴェン」
振り向きはしない。けれどライラは一方的に彼の背中に続けた。
「今日は寝ないで待ってるから。時間を作ってくれてありがとう。いってらっしゃい」
スヴェンが足を止め、わずかにライラの方に顔を向けたので、一瞬だけふたりの視線が交わる。
スヴェンからなにも言葉は返ってこなかったが、かすかに口角が上げられている表情に、ライラも自然と笑顔になって返した。


