「スヴェン、最近忙しいみたいだけど大丈夫?」
「心配ない」
一言で済んだ返事は、部屋に沈黙をもたらす。澄んだ空気が肌を刺し、押されるようにスヴェンはおもむろに口を開いた。
「……連日なにをしてるんだ、お前は」
自分を見下ろしてくるスヴェンの質問にライラは目をぱちくりとさせながらも、珍しく含んだ笑みを浮かべた。
「内緒」
まさかの回答にスヴェンは顔をしかめる。けれどライラは笑ったままだった。
「夫に隠し事か?」
「時期が来たらちゃんと話すよ。スヴェンだってそうでしょ?」
ライラの切り返しに言葉に詰まり、すぐに反論ができなかった。
そもそもアプローチの仕方を間違えた。ライラと自分の関係は対等ではない。そこを突っつけばよかったものを、どうしてわざわざこんな言い方をしたのか。
押し黙るスヴェンにライラがフォローの言葉をかける。
「今は話せないだけで、ちゃんと話すから。あなたに迷惑をかけるようなことはなにも……」
「……戦で幼馴染みを亡くした」
突拍子もなく告げられた言葉は、ライラの思考も時間さえも止めた。動けずにいるライラをよそにスヴェンは無遠慮にベッドの端に腰掛ける。
自然とライラに背を向ける形になった。
「クラウスに……今の王になってから大分治世は落ち着いたが、前国王は野心家で好戦的だった」
不敬罪ともとれる発言、それを自覚したうえでスヴェンは口にした。今まで声にしたことはない、けれどこれが自分の本音だ。
「心配ない」
一言で済んだ返事は、部屋に沈黙をもたらす。澄んだ空気が肌を刺し、押されるようにスヴェンはおもむろに口を開いた。
「……連日なにをしてるんだ、お前は」
自分を見下ろしてくるスヴェンの質問にライラは目をぱちくりとさせながらも、珍しく含んだ笑みを浮かべた。
「内緒」
まさかの回答にスヴェンは顔をしかめる。けれどライラは笑ったままだった。
「夫に隠し事か?」
「時期が来たらちゃんと話すよ。スヴェンだってそうでしょ?」
ライラの切り返しに言葉に詰まり、すぐに反論ができなかった。
そもそもアプローチの仕方を間違えた。ライラと自分の関係は対等ではない。そこを突っつけばよかったものを、どうしてわざわざこんな言い方をしたのか。
押し黙るスヴェンにライラがフォローの言葉をかける。
「今は話せないだけで、ちゃんと話すから。あなたに迷惑をかけるようなことはなにも……」
「……戦で幼馴染みを亡くした」
突拍子もなく告げられた言葉は、ライラの思考も時間さえも止めた。動けずにいるライラをよそにスヴェンは無遠慮にベッドの端に腰掛ける。
自然とライラに背を向ける形になった。
「クラウスに……今の王になってから大分治世は落ち着いたが、前国王は野心家で好戦的だった」
不敬罪ともとれる発言、それを自覚したうえでスヴェンは口にした。今まで声にしたことはない、けれどこれが自分の本音だ。


