泣いて別れを惜しんだ光景が頭を過ぎる。お互いに兄妹のような存在で、久々に会えた家族の現状にライラは飛び跳ねそうな勢いだ。

「すごい! 頑張ったのね。昔からエリオットは動物に好かれていたから、すごく向いていると思うわ」

「ありがとう。それにしてもまさかこんなところで会えるなんて。本当にライラなのかい? 君はどうしてここに?」

 エリオットの言葉で、はしゃいでいた気持ちがピタっと止まる。

「実は……」

「彼女は俺と結婚したんだ」

 言葉を迷うライラよりも先に、スヴェンがきっぱりと言い放つ。驚いたのはエリオットだけではなくライラもだ。

「バルシュハイト元帥と!?」

 エリオットは叫んですぐに口元に手をやって声を抑えた。さらにスヴェンはライラの肩を抱く。

「正式に発表するタイミングは陛下次第の意向もあって、あまり公にはしていない。だからこの件は他言しないように」

 有無を言わせない口調と立場も相まってエリオットは、圧倒されたように『はい』と頷くだけだった。事実を受け入れたところで、ライラに笑顔を向ける。

「ライラおめでとう。また改めてゆっくり話を聞かせてくれよ。それにしても本当によかった。家族として心から祝福するよ」

「……うん、ありがとう」

 眩しい笑顔のエリオットをライラは直視できず、ぎこちなく返した。