冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない

そして、続けて自分の取った行動を振り返ると、ライラの顔色は青から赤に変わる。

『今日は私が温めてあげる。とりあえずベッドに先に入って温めておいたの! よかったら使って』

 得意げに告げた自分の提案を思い出して、叫びそうになった。見当違いなのもいいところだ。

 私、馬鹿みたい。

 スヴェンに笑われた理由を、あのときは突き詰めなかった。それを自分なりに結論付けると答えはひとつしか見つからない。

 きっと呆れられたんだ。

 無下にされなかったのは、スヴェンの優しさなのか、あえて否定して本当のことを話すほどでもないと判断したのか。どっちみち空回っていたのには間違いない。

 私の一方的な勘違いに、ずっと付き合わせていたんだ。

 ライラは顔が上げられないまま、スヴェンに弱々しく尋ねる。

「ジュディスさんとは……恋人なの?」

「そんなのじゃない」

 瞬時に否定されたうえ、あまりにもはっきりした口調に、逆にライラは動揺する。

「なら、スヴェンは……」

好きでもない人と、と言おうとしてライラは言葉を止めた。自分たちの関係も似たようなものだ。

 好き合っている者同士でもないのに、同じベッドで寝て、スヴェンはライラに戯れのように口づける。それらをライラも受け入れていた。

 すべては結婚しているという理由だけで。