冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない

スヴェンが異変に気づいたのは部屋に入ってすぐだった。

 ここ最近のライラは、ソファに腰掛けお茶の準備でもしながらスヴェンの帰りを待つか、先にベッドに入って休んでいるかが定番だったのに、今はどちらにもその姿はない。

 今日はルディガーたちにお茶を振る舞うと張り切っていたので、てっきり部屋に戻れば一目散に寄って来て、目を輝かせながらその報告をしてくるのだろうとスヴェンは予想していた。

 目線を散らし、彼女を別の場所で見つける。

 ライラは部屋には来ていたが、珍しくデュシェーズ・ブリゼで横になっていた。正確には丸まっているとでもいうのか。

 頭からシーツを被り、その姿はよく見えない。

 眠っているふうでもなく、部屋が耐えられないほど寒いわけでもない。あきらかに様子がおかしいのを感じ、スヴェンはおもむろに近づいた。

「どうした?」

 スヴェンに声をかけられ、ライラの体がびくりと動く。ライラはのろのろと身を起こしたもののシーツを頭から被った状態で、足を乗り上げ座り込んでいる。

 うつむいているのもあって顔は見えないが、胸元でシーツを抑える手に力が込められた。

「ライラ?」

 名前を呼び、ぎこちなく頭のシーツを払うと、栗色の長い髪がさらりと落ちる。ライラはスヴェンの顔を見ずに、声を震わせて言葉を発した。