舗装された山道を馬は駆け上がる。王の、そして自分たちの居住地でもあるアルント城が程なくして見えてきた。
アルント城は街を見下ろせる高い位置にあった。歴代に渡り増築を繰り返した結果、要塞を兼ねた石造りの頑丈な面と宮殿としての華やかさを併せ持ち、高さの揃わないいくつもの尖塔の青い屋根が目を引く。
日光を浴びた城は黄金色に輝き、王家の威光を放つと人々の間では言われていた。
城門をくぐり、男ふたりは自分の愛馬をセシリアに任す。いつもなら厩役に預けるところだが、今回の件は秘密裏に進めるのが条件だ。
ライラを連れスヴェンとルディガーは国王の元へと急ぐ。夜の城は耳鳴りがするほど静かだった。
「ご苦労、よくやってくれた」
玉座から凛とした声が響く。赤と金で見事なまでに装飾された豪華絢爛な謁見の間で王は彼らを待ちかまえていた。
明るい光を集めたような金髪、思慮深さを思わせる鉄紺の瞳。
部屋に対し、けっして見劣りしない誰もが目を引く容姿で、身に纏う深藍の衣装には王家の紋章と金の細工が施されている。
王のみが座るのを許されている椅子にゆったりと腰を下ろし、肘掛けに体を預け帰還者たちを優雅に見下ろしている。口元にはわずかに笑みが浮かんでいた。
そしてライラを真ん中に、両側で膝をついて頭を下げている男たちに対しわざとらしく王としての口調を放棄してみせる。
「そう形式張らなくていい。今回の件は俺の個人的な事情でお前らに命じたんだ。気楽に構えろ」
その言葉でスヴェンとルディガーがおもむろに顔を上げた。
アルント城は街を見下ろせる高い位置にあった。歴代に渡り増築を繰り返した結果、要塞を兼ねた石造りの頑丈な面と宮殿としての華やかさを併せ持ち、高さの揃わないいくつもの尖塔の青い屋根が目を引く。
日光を浴びた城は黄金色に輝き、王家の威光を放つと人々の間では言われていた。
城門をくぐり、男ふたりは自分の愛馬をセシリアに任す。いつもなら厩役に預けるところだが、今回の件は秘密裏に進めるのが条件だ。
ライラを連れスヴェンとルディガーは国王の元へと急ぐ。夜の城は耳鳴りがするほど静かだった。
「ご苦労、よくやってくれた」
玉座から凛とした声が響く。赤と金で見事なまでに装飾された豪華絢爛な謁見の間で王は彼らを待ちかまえていた。
明るい光を集めたような金髪、思慮深さを思わせる鉄紺の瞳。
部屋に対し、けっして見劣りしない誰もが目を引く容姿で、身に纏う深藍の衣装には王家の紋章と金の細工が施されている。
王のみが座るのを許されている椅子にゆったりと腰を下ろし、肘掛けに体を預け帰還者たちを優雅に見下ろしている。口元にはわずかに笑みが浮かんでいた。
そしてライラを真ん中に、両側で膝をついて頭を下げている男たちに対しわざとらしく王としての口調を放棄してみせる。
「そう形式張らなくていい。今回の件は俺の個人的な事情でお前らに命じたんだ。気楽に構えろ」
その言葉でスヴェンとルディガーがおもむろに顔を上げた。


