そして彼女はある日突然、王の前から姿を消したのだという。
そんな彼女に関してただひとつ、はっきりとしていることがある。彼女の瞳は左右で色が違っていた。片方の目が月のように輝く琥珀色だったのだ。
鷲のように聡明で鋭い金の瞳だと初代王は称えたという。彼女の瞳の色、そして初代王とフューリエンのふたりの人物を表すため、王家の紋章は双頭の鷲になったという。
この国では『二』という数字は縁起が良いとされ、これらが起因しアルノー夜警団のトップも双璧元帥(アードラー)として二人の人間が務めている。
今はスヴェンとルディガーがその任を担っていた。
スヴェンはこれらの情報を元に頭の中で状況を整理する。
国民の誰もが知っている王家の成り立ちにまつわる伝説。どこまでが真実なのかはわからない、しかし肝心なのは嘘か本当かという問題ではない。
片眼異色でさえ珍しく、ましてや片目の色が金ならばフューリエンを連想しない人間はいない。
フューリエンの生まれ変わりや末裔だと信じて、彼らを「導く人」と呼び不思議な力で幸福をもたらす存在として崇め奉る人間もいると聞いてはいた。
自分にもたれかかっているライラを軽く見下ろす。この状況なら瞳の色どころか、今は顔を確認することもできない。
しかし一度見たらけっして忘れられない、あの部屋で月明かりに照らされながら目が合ったライラの姿が目に焼き付いている。
話は聞いたことがあっても、実際に片方の目のみが金色の人間を見るのは初めてだ。
そんな彼女に関してただひとつ、はっきりとしていることがある。彼女の瞳は左右で色が違っていた。片方の目が月のように輝く琥珀色だったのだ。
鷲のように聡明で鋭い金の瞳だと初代王は称えたという。彼女の瞳の色、そして初代王とフューリエンのふたりの人物を表すため、王家の紋章は双頭の鷲になったという。
この国では『二』という数字は縁起が良いとされ、これらが起因しアルノー夜警団のトップも双璧元帥(アードラー)として二人の人間が務めている。
今はスヴェンとルディガーがその任を担っていた。
スヴェンはこれらの情報を元に頭の中で状況を整理する。
国民の誰もが知っている王家の成り立ちにまつわる伝説。どこまでが真実なのかはわからない、しかし肝心なのは嘘か本当かという問題ではない。
片眼異色でさえ珍しく、ましてや片目の色が金ならばフューリエンを連想しない人間はいない。
フューリエンの生まれ変わりや末裔だと信じて、彼らを「導く人」と呼び不思議な力で幸福をもたらす存在として崇め奉る人間もいると聞いてはいた。
自分にもたれかかっているライラを軽く見下ろす。この状況なら瞳の色どころか、今は顔を確認することもできない。
しかし一度見たらけっして忘れられない、あの部屋で月明かりに照らされながら目が合ったライラの姿が目に焼き付いている。
話は聞いたことがあっても、実際に片方の目のみが金色の人間を見るのは初めてだ。


