ダメ。やっぱり、無理。


怖くてとても聞けない。


思わず彼の手をパッと振り払う私。


そして、目線を下に向けたまま、ボソッと口にした。


「……ごめんなさい。私、やっぱり、彼方くんの気持ちは受け取れない」


「えっ……」


「彼方くんのこと、信じられないから……」


胸の奥がズキズキと痛む。苦しい。


だけどもう、これ以上曖昧な態度を取り続けるわけにもいかなくて。


私はとうとうハッキリと彼を拒絶してしまった。


彼方くんは、ハッとした顔でそのまましばらく固まる。


「ど、どうしたんだよ。なんで急に……っ」


「だからもう、私に構わないで」


わざと冷たい表情で言い放つ私。


だけど、そんな私の言葉に納得がいかなかったのか、彼方くんは再び引き止めるように私の腕をギュッと掴んでくる。


「……っ、そんなの無理に決まってんだろっ」


「なっ……」


「急にそんなこと言われてもわかんねぇよ!」


必死の表情で訴えられて、ますます胸が苦しくなった。


「理由があるなら、ちゃんと話して……」