私は、シャワーを浴びた。
傘も刺さずに公園に向かったから、体はびしょびしょで。
風邪引くから、お風呂に入りなさいって
お母さんがうるさかったから。
でも、それだけ心配してるってことだよね。
お母さんがスープを作ってくれたおかげで
体の芯からぽかぽかと、温かくなった。
そういえば……
晴翔くんの制服姿。
久しぶりに見たな……。
「学校、今日は行ったんだね。風邪、ちゃんと治ったの?」
「治ったよ。昨日は病み上がりで
まだ心配だからって休んだだけ」
「そっか……。ならよかった」
何故か、晴翔くんと話すと心が穏やかになる。
「そんな事より自分の心配しろよ……」
「私は大丈夫だよ」
大丈夫って言わないと、晴翔くんが余計に心配するから。
「大丈夫じゃないだろ。椿、あの時と似たような表情してる」
あの時……?
あぁ、私が和輝くんを
泣きながら振った時の事かな。
「そう、かな……」
振った後、走って晴翔くんが教室に来て
泣いてたの隠さなきゃ……って制服の袖口で涙拭いて
頑張って耐えてた。
あの頃はまだ、今みたいに
そこまで仲良くなかったよね。
あれからいろんな事あったなぁ……。
考えると、楽しい事ばかり浮かんでくる。



