「こんな所に座り込んで、何やってんだよ」
聞いたことのある声……。
上を見上げると、傘を私の方に向けて立っている
制服姿の晴翔くんが、そこにいた。
「どう、して……ここに来たの」
私は、誰にも言ってないはず。
お母さんにだって、ここに来ること言わなかった。
「プリント届けに椿の家行ったら、お母さんが
心配そうに出てきて、椿が傘を刺さずに
ふらふらしたまま、外に出てったって言うから」
「それでも普通、私の居場所なんてわかんないでしょ……
誰にも言わずにここに来たんだから……」
「そうなんだよな。
でも唯一、思いつく場所がここしかなかったから」
「そっか……」
「ちゃんとご飯食べてるか?
食べないと体に悪いぞ?」
「その言葉……私頭の中で言われた。
だからちゃんと食べたよ……。
すごく気持ち悪くて、吐き気がしてたけど」
「そこまで、無理して食べる必要ないだろ……
でも、俺のこと、頭に浮かべてくれたんだな
ありがとう。嬉しいよ」
「なんか、自然と浮かんだんだよね。
心配かけないように、頑張って食べようって思った」
「椿はえらいよ。ほら、風邪引くから家に帰ろう。
家まで送るから」
そう言って、晴翔くんは
背中を向けてきた。



