「んっ……」


そっと、触れるだけで漏れる甘い声。


聞いているだけで、どうにかなってしまいそう。


昼間、吊戯たちが言っていたのはこのことなのか。


『女は恐ろしい。無意識に、俺らの理性を叩き壊しやがる』


……確かに、その通りみたいだ。


頬を赤らめ、背けようとする哀華の顎を掴み、キスを落とす。


「ふぁ、っ……んんっ、らいっ、と……」


「ん?」


全力で、背中を守ろうとする哀華。


理由は分かってる。


「哀華、」


「やっ……」


胸にキスを落とし、


「背中はやだっ」


手首にキスをし、油断させる。


「……意味、知ってるか?」


「え……?」


恐る恐るこちらに顔を向けた哀華の鼻に、キスを落とす。


「胸にキスするのは、所有って意味がある。手首は、欲望。鼻は、愛玩」


「……」


「でな、」


「キャッ……」


怯んだ隙に背中あらわにし、上に覆いかぶさる。


「やだっ」


そこにあったのは、多くの刀傷。


そして、それが爛れた後。


「あっ、……」


その背中にも、キスを落とす。


意味は、確認。


ずっと、哀華は自分のものであるという確認だ。