『本当に、日本を飛び出してもよかったの?』


吊戯さんの会社を辞めることに、あんなにも抵抗していたのに……私がそう言うと、彼は笑って。


『外で会社を興そうか』


……なんて。


無理だと思ったけど……彼は、本当に成し遂げた。


「にしても、すごい花だな」


飾られた花の装飾品を眺め、御門さんが呟く。


「そして、まぁ、人の多いこと……これ、全員、社員か?」


会社を興した來斗は華道を利用した。


家業を利用して、一気に会社を大きくして、世界に轟かせるまでになって。


その本拠地が、ここ、ヨーロッパというわけだ。


会社が忙しくて、日本を出てきてから、早5年以上。


漸く、再結婚式を挙げられた今日、來斗はずっと笑ってる。


その笑顔をそばで見られることが嬉しくて、幸せで、仕方がない。


「……ねね、哀華」


吊戯さんと、御門さんと來斗が笑って話し込むのを見ながら、私は彼女達を見る。


「どうしたの?千華、夏咲」


「あのさ……」


ごにょごにょと耳元に囁かれた、単語。


「うえっ!?」


私は思わず、変な声を出してしまって。


だって……。


『もう、寝た?』


……なんて。


直球にも、程がある。