そこまで考えて、いつもハッとする。
どんなに願っても、俺はもうマウンドには立てない。
そんな毎日を繰り返し、今日もいつものように野球部の練習風景を見ていた。
夕方の四時半も近くなり、そろそろ帰ろうかという頃、
副島が「話がある」と言ってやってきて、話は冒頭へ戻るのだった。
現実逃避していた俺は、教室で副島に押し切られ、副島の家に連れてこられていた。
副島の家は学校から歩いて十分という近さだった。
肩から副島の体温を感じそうなほど近くで一緒に歩くという、正常な高校生男子ならドキドキする展開だというのに、
副島の口から漏れるのは愛犬の話ばかりで、俺は正直なところ辟易していた。
ときめきなんてものがカケラも湧いてこない。



