当たり前かもしれないけど、こんな殺気だった状況に遭遇したのは人生ではじめてで。
目の前に立つふたりが本当に味方がどうかもわからないけど……。
だからといって、ここで私が下手に動いたら、せっかく助けてくれたのに状況が逆転してしまうかもしれない。
今は、言われた通りにしてた方がいいよね。
そう心に決めて、張り詰めた空間に戸惑いながらもその行方を見守っていると、ふと大翔さんが時計を見てぎょっと目を見張った。
「うおっやべえ、時間だ時間。おいお前らどーすんだ。今ここで雅にぶちのめされていくか、そこで転がってるやつ連れて引くか」
完全に私用の気配を漂わせながら、大翔さんは苛立ったように首をまわしはじめる。
その様子を見た相手は、一瞬迷う様子を見せたあと吐き捨てるように舌打ちを落とした。
「っ、くそ!」
「……引くっきゃねぇな。ここで俺らがやられたら、ボスに言い訳がつかねぇ」
「おい立てるか。行くぞ!」
いまだお腹を抑えたままうなっていた仲間を両脇から抱えあげ、男たちは悔しそうな顔をしながら退散していく。



